メガネのレンズ、実は入れる方向が決まっているものもあります

スタッフ今堀です。

 

先日、お子様のメガネをお作りいただいたお客様から電話があり、

「遊んでいる最中にメガネのレンズが外れてしまい、

なんとかレンズをはめてみたのですが、

見え方がおかしいみたいなんです・・・」

そんなお問い合わせをいただきました。

 

使用中にレンズが外れないように加工しておりますが、

何らかの原因でメガネフレームに力が加わったりすると、

レンズが外れてしまうことはあります。

 

でも、どうして見え方がおかしくなってしまったのでしょうか?

 

遠視があるのでそれを補正するためのメガネだったのですが、

このお客様のメガネのレンズには、

遠視の度数だけでなく、乱視の度数も入っていました

 

 

眼鏡処方箋やレンズの袋などを見ると、

(この処方箋は別の方の処方箋です。)

球面Sと書かれている場合もあります)の隣に、

円柱Cと書かれている場合もあります)という表記があり、

それぞれ数字が書かれています。

 

球面(もしくはS)は、近視や遠視を補正するためのレンズの度数で、

円柱(もしくはC)は乱視を補正するためのレンズの度数になります。

円柱の欄が空白で、球面のみに数字がある場合は、

このレンズには乱視の度数は入っていないということになります。

(ただし、本当は乱視がある目でも、

あえて乱視の度数を入れていないということもあります。)

 

 

その隣の軸度という項目にご注目下さい。

(軸度はAXと表記されている場合もあります。)

乱視の度数が書かれている場合には、

必ずこの軸度の欄にも数字が書かれています。

 

「°(度)」という角度を表す単位が使われていますが、

乱視の度数が入ったレンズでメガネを作る場合には、

決められた角度にレンズを入れなければならなりません。

もし、正しい角度でレンズが入っていないと、

レンズの効果が十分に発揮されなかったり、

見え方がおかしくなってしまうのです。

 

ちなみに、この軸度は人(の目)によって異なります。

Aさんは90°だったり、Bさんは180°だったりします。

そのため、どの角度でレンズを入れれば良いのかが分かるように、

乱視の度数とセットになって処方箋などには記載されています。

 

そこで、冒頭のお客様の話に戻るわけですが、

外れたレンズをご自身で入れ直された際に、

レンズの角度が正しい軸度からずれてしまっていました。

カルテで軸度を確認し、正しい角度で入れ直させてもらいました。

今回はすぐにお母さんが気付かれて、

メガネを持って来て下さったので良かったです。

 

 

こちらはレンズの度数を測定する専用の機器です。

レンズに付いた矢印が真下に向いておりますが、

この位置が正しい位置だと思って下さい。

画面を見ると、S、C、Aと項目があり、数字が表示されています。

丸で囲ったAが乱視の軸度です。

小さくて少し見にくいですが、180(度)と表示されています。

 

 

レンズを少し回転させてみました。

矢印が真下から少し右斜め方向にずれました。

画面を見てみると、Aの数字が15(度)に変化しております。

 

もし、この状態でレンズを削ってメガネを作ってしまうと、

本来は180度で作らなければならなかったメガネが、

15度にずれて出来上がってしまうということになります。

実際には15度もずれることはそうそうないのですが、

レンズの向きを少し変えることで、

軸度が変わってしまうことがお分かりいただけたと思います。

 

お店でレンズを加工し、フレームに入れる際には、

このような機器で確認しながらレンズを入れております。

ところが、お客様が自分で入れ直そうとすると、

当然、こんな機器を持っておられるはずがないので、

軸度が合っているかどうかは確認のしようがありません。

運悪くレンズの角度がずれてしまっていると、

見え方がおかしくなってしまうことがあります。

 

 

最近は丸いメガネを掛けている方が多いですが、

丸いレンズを正しい向きで入れるのはかなり難しいです。

一見、正しくレンズが入っているように見えても、

レンズの軸度が真逆になっていたりすることもあるので要注意です。

 

緊急で仕方なく自分でレンズを入れられた場合でも、

後で眼鏡屋さんで確認をしてもらうと良いと思います。

メガネを作ったお店であれば度数の控えもあるはずなので、

正しい方向で入っているかを確認してもらえますし、

ずれている場合には正しい向きに直してもらえるはずです。