スタッフ今堀です。
当店には弱視の治療用眼鏡を作りに小さいお子様が来られます。
ところで、「治療用眼鏡」って普通の眼鏡と何が違うのでしょうか?
基本的には普通の眼鏡と同じです。
レンズに目を治療する特別な素材が使われているとか、
フレームに薬が塗り込んであるとか、そういうことはありません。
では、眼鏡を掛けることで何を治療しているのでしょうか?
弱視というと、目(視力)だけの問題だと考えられがちですが、
弱視は、「大脳皮質視覚野の二次的な発達障害」と言われています。
遠視や乱視があることで網膜上の像がぼやけてしまい、
それによって脳(視覚を司る部分)の発達にも影響が出てしまう。
それが弱視です。
乳幼児期に遠視などによって視力が出ていない状態にもかかわらず、
治療用眼鏡を掛けずに放置しておくと、
成人になってから眼鏡やコンタクトレンズを使っても、
視力が良くならない(1.0以上出ない)可能性が高いことは、
ご存じの方が多いと思います。
乳幼児期から常にぼやけた像しか見ていなかったことで、
適切な視覚刺激が目から脳に十分に伝わらず、
視覚の司令塔である脳の発達に影響を与えてしまいます。
これは数値化できて客観的に評価しやすい視力だけでなく、
ものの形を正確に捉える能力や、
左右の目で見た物を脳で一つにまとめて奥行きを捉える能力など、
そういった視力以外のさまざまな視覚にも問題が出てしまう、
そういう可能性もあります。
視覚刺激に対する脳の処理能力、
そのネットワークは大体8歳くらいまでに構築されると言われています。
(治療用眼鏡の保険の対象が9歳未満までとなっているのも、
そうしたデータがあるからではないかなと思います。)
その間に視力を低下させている原因(遠視や乱視)などを補正し、
目から鮮明な像(適切な視覚刺激)を脳へと送り、
視覚に関わる脳のネットワークを構築していく。
こうした役割を果たしているのが、治療用眼鏡です。
(もちろん、しっかりと視力が出るようにするという目的もあります。)
近視を補正する普通の眼鏡や老眼鏡のように、
見にくい状態を改善するためだけではないのです。
なので、毎日眼鏡をちゃんと掛けていることがとても大切です。
弱視の治療用眼鏡の「治療」という言葉には、
実はものすごく重要な意味が込められおり、
治療用眼鏡は、普通の眼鏡とは違う大事な役割を果たしています。