スタッフ今堀です。
最近のメガネレンズは、レンズ表面のコーティングがかなり良くなってきており、レンズに付着した汚れなどもさっと拭き取れて、キズもだいぶ付きにくくなっております。
ただ、それでも何年も使っていればコーティングがはがれてしまうこともあります。
また、メガネを地面に落としたり、何かにぶつけたりすると簡単にレンズにキズが付いてしまいます。
メガネのレンズ、特に当店のような眼鏡専門店で販売しているレンズは、そこそこお値段もします。
なかなか簡単に買い換えることができないという方も多いと思います。
レンズにキズが付いてしまったり、コーティングがはがれしまったお客様からよくこんな質問を受けることがあります。
「レンズはそのままで、コーティングだけやり直せない?」
お気持ちはよく分かるのですが、結論から申し上げますと、
それはできません。
レンズ表面のコーティングがはがれてしまったり、キズが付いてしまった場合は、レンズそのものを交換していただくしかありません。
上の画像は、当店で取り扱っている伊藤光学さんのレンズ工場に見学に行かせてもらった時の写真です。
実際に工場を見学させていただいて驚いたのですが、一枚の眼鏡レンズが製造されるまでにはすごくたくさんの工程があります。
そうしたたくさんの工程を様々な機械を使いながらレンズは製造されており、その現場を見ると、どうしてコーティングだけをやり直すことが難しいのかがよく分かります。
たとえば、眼鏡レンズ用のコートは、蒸着機という機械の中で真空状態でコーティングされます(蒸着工程)。
この蒸着工程前には、レンズ表面の異物を取り除くために超精密洗浄が行われ、それが完了したうえで蒸着工程に入るといった感じです。
蒸着工程に入る前の準備の工程も非常に大事で、単純にコートを張り付けて終わりというわけではないのです。
他にもさまざま工程があり、各工程が終わる度に異物やキズの有無の検査が行われます。
こうした一連の作業工程を効率化し、流れ作業にすることで短時間に大量のレンズが製造でき、それによって製造のコストを下げる(一枚あたりを安く作る)ことができるわけです。
皆様のお手元に届いているメガネレンズは、こうしたレンズ工場の効率化された製造システムによって購入時の価格が成り立っております。
僕自身も工場見学をさせていただいてよく理解できたのですが、そのようにシステム化された製造工程の中に一枚だけ別のレンズを入れて一部の工程だけを行うことということは、現実的にはほぼ不可能です。
仮にもしできたとしても大変な手間がかかり、コストも高くなってしまうので、おそらく購入した時と同じような価格にはならない(結果的に買い換えた方が安くて済む)と思います。
「レンズを買い換えたら高いし、はがれたコーティングを全部めくってコーティングだけやり直せば安く済むんじゃないの?」
そんな風に考える方もおられるかもしれませんが、決してそういうわけではないんですね。
メガネレンズのコーティングに限らず、メガネの寿命は日々の使い方によっても大きく変わります。
素材によっては経年劣化が避けられない場合もありますが、大事に使っていただければ長持ちもしますので、ぜひ正しいお手入れ方法を知っていただいて、それを日々実践していただけたらと思います。
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