スタッフ今堀です。
眼鏡店の店頭に並んでいるメガネフレームには、
大抵、下の画像のようなレンズが入っております。
ブランドのロゴやフレームサイズが表示されていたり、
中には一切そういうものが書かれていないものもあります。
このレンズは見本用のレンズなので、
当然ですが、度数は入っておりません。
眼鏡屋さんでメガネを作った経験がある方にすると、
「そんなの当たり前でしょ?」という感じなのですが、
たま~にですが、この見本用のレンズが入ったメガネを掛けて、
「あかんわ、このメガネは全然見えないわ」と仰る方がおられます。
おそらくですが、既製品の老眼鏡しか使われたことがない方で、
レンズが入った状態でメガネは販売されている、
そんな風に誤解されておられるのかなと思われます。
この見本用のレンズにも名前がありまして、
業界ではダミーレンズと呼ばれております。
(正式な名称なのかどうかは僕も分かりません。)
「ダミー」という言葉には、
“本物に似せて偽装した、実際には機能を持たないもの”
という意味がありますが、まさにダミーのレンズですね。
加工の際にはこのダミーレンズを取り外して、
度数の入った本物のレンズに入れ替えます。
ダミーレンズはその時に処分されることになるのですが、
それなら別に無くても良いんじゃないのと思いませんか?
ところが、このダミーレンズ、実は色々と役に立つのです。
一つはフレームを展示した時の見た目の印象の問題です。
商品として店頭に陳列した時に光が反射するので、
ダミーレンズがあった方がよりメガネっぽく見えます。
最近のダミーレンズは進化しておりまして、
本物のレンズと同じような反射光をしているものもあります。
フチなしフレームやハーフリム(※)のフレームの場合、
(※フチが上側だけあって下側をナイロンの糸で固定するフレームです)
このダミーレンズがないとメガネの形を維持できません。
フチなしフレームの場合には、上の写真のようにバラバラになってしまいます。
ダミーレンズがあるおかげで外見もメガネっぽく見えるし、
実際に掛けて試すこともできます。
実際にレンズを削って加工する時にもダミーレンズは役に立ちます。
ダミーレンズを使ってレンズの型取りをしたり、
フレームを固定するための穴の位置を決めたりします。
お客様の目の位置を確認する時にもダミーレンズは役に立ちます。
遠近両用レンズなどでは、ダミーレンズに専用のシールを貼って
目の位置を確認したりします。
メガネフレームに当たり前のように付いているダミーレンズ。
メガネが完成し、お客様にお渡しする時には、
その役目を終えてひっそりとなくなってしまう存在ですが、
意外といろいろ役に立ってくれているのです。